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山ノ神ノ頭〜ブナノ平

台高山系2007年4月14日〜15日山中テント泊
行程[行動時間]
1日目 三ノ公林道終点(明神出合)〜山ノ神ノ頭〜ブナノ平[5時間30分]
2日目 ブナノ平〜山ノ神ノ頭〜三ノ公林道終点[4時間30分]
メンバー:トモさん、キュウさん

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台高縦走路上、幕営地偵察。ブナノ平はどんなかな?

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いつかはやりたいと思っている台高縦走。石橋をたたいて渡る性格なので、なるべく事前に縦走路上のテント適地と水場を確認しておきたい。昨年は霧ノ平を確認した。今度は気になっていたブナノ平だ。

ブナノ平
ブナノ平

4/14(土)1日目 楽々山行のはずが、ブナノ平手前で、ロスト。


川上村入之波温泉を過ぎ、三ノ公林道を走る。道中、釣り人のものと思われる車が数台見かけられる。それにしても山肌を彩る山桜の薄桃がきれいだ。10:00、林道終点着。車が2台駐車している。おそらく馬ノ鞍峰をめざしているのであろう。我々は、三ノ公川を渡り、休憩所の裏手から山ノ神ノ頭へと向かう。通行禁止のロープがかけてあったが、自己責任ということで、進ませてもらう。(この道は危ないところはないはずだけどなぁ)


いきなりの急登。旺文社の地図(2001年版)には記されていない道なので踏み跡は薄いかなと思ったが、そんなことはない。かなり上まで階段が設けてあったし、テープも十分つけてあった。


この道は特筆すべき点はこれといってない。前半は常緑樹が多く見晴らしはない。わずかに見られるタムシバやミツバツツジの花が慰めとなる。また中間地点の巻き道では、大きな岩肌がオーバーハングしたところがあった。大普賢岳の笙ノ窟をひとまわり小さくしたようなところで、トモさんは「以前見たような気がする」と言ったが、それはたぶん笙ノ窟のことだろう。


山ノ神ノ頭まであと30〜40分といったところから、途端に気持ちの良い尾根道となる。ツガやブナの巨木が並ぶ疎林となり、思わず休憩したくなる。実際、山ノ神ノ頭にまだ着いていないが、ここで昼食をとることにした。コガラ、ヒガラ、ヤマガラ、シジュウカラのさえずりが心地良い。しかし風は冷たく、あまり長居はできなかった。


巨木に目をやりながら再び歩き、ほどなくして山ノ神ノ頭に到着。台高縦走路を南下する。アップダウン、やせ尾根、開けたところとブッシュの繰り返し、いかにも台高縦走路っぽいところがなんとなく嬉しい。時間はたっぷりあるので急ぐことはない。バイカオウレンの群生を写真におさめながらゆっくり進む。


山ノ神ノ頭から2時間たった14:40、最後のピークである1164mピークに着く。ここをほんの少し南西に下ったらブナノ平だ。しかしここからが問題だった。


ピ−クから60mほど進んだところで道が途切れてしまったのだ。おかしい。1164mピークからここまでの間、はっきりした踏み跡だったし、テープも1本巻いてあった。それなのに道がない。強引に進むのをやめ、こういう場合の鉄則として、確実な場所、つまり1164mピークまで引き返してみる。


ピークはいたるところにテープが巻かれ、おまけに縦走記念の金属プレートまで打ち付けてある。やはりここは間違いなく1164mピークで、ここまでは間違っていないのだ。地図とコンパスであらためて確認。道はピーク付近から南西方向(右手)に伸びるはずだ。もう一度、右手に注意しなが進んでみる。だがそれらしきところは見つけられないまま行き止まりのところまで来てしまった。


どうしよう。下山するには日が暮れてしまう。テントがあるので適当な場所でビバークしてもかまわないが、水がない。今日にかぎって余分の水は持ってきていないのだ。のこりの500mlのお茶で今晩と明日下山するまでもたせるのは、ちと辛い。


本当はしてはダメなのだが、行き止まり地点から南西方向に強引に下ってみることにした。やがて完全なブッシュとなり引き返そうとしたら、なぜか赤テープが1本巻いてある。どうみてもそこは道ではないのだが。もう少し進んでみる。やはりブッシュが行く手をふさぐだけだ。あきらめかけたそのとき、遠く下の方にキラキラしたものが見える。水だ。とにかくここでビバークできる。少しだけ安心してブッシュを抜け、強引に谷に降り立った。この彷徨で小1時間浪費してしまった。


そこはバイケソウが生える明るい谷だった。ひょっとしてブナノ平の水場の下部かもしれない。さかのぼってみると、確かにそうだった。使用されていない雨量観測計があり、さらに上部に、ブナの巨木が林立する最高のテント場があった。ブナノ平だ。そこは縦走路上なので、とりあえず登山道に戻れたことにほっとした。


テントを設営し、トモさんは夕食づくり、僕は水を確保する。いつもそうかはわからないが、水場の水量は少しもの足りない。2〜3分で1リットルのペース。地図上に水マークが記してあるので、おそらく涸れることはないのだろう。


日没前に夕食をとり、20:00頃就寝する。テントの下はフカフカのブナの落葉、やわらかい寝床のおかげでぐっすり眠ることができた。またブナの梢のはるか上には、満点の星がまばたいていた。



山桜
林道の山桜が満開

三ノ公川
三ノ公川を渡り、休憩所の裏手から登る。

ミツバツツジ
上を見ればミツバツツジやアセビが満開。下にはタムシバとツバキの紅白の花びら

アセビ
アセビ。

大きな岩肌
巻き道のほうへ進むと現れた大きな岩肌。

 ギンリョウソウ
頭を出したばかりのギンリョウソウ。ちとキモチワルイ。

 山ノ神ノ頭
もうすぐ山ノ神ノ頭。気持ちの良い尾根道だが急登が続く。

尾根道
山ノ神ノ頭をすぎるとやせ尾根の厳しいアップダウンが続く。

 バイカオウレン
バイカオウレン。ほっとするひととき。

 バイカオウレン
踏んでしまいそうなところに群生している。

水場
バイケイソウに囲まれた水場。たすかったー。

テント場
テントを張ったら、すぐ夕食の用意。今日はパスタ入りのポトフ。

 ブナ
ブナの巨木が多い。

4/15(日)2日目 静かなり。台高の春ははじまったばかり。


小鳥のさえずりで目をさます。天気が下り坂ということで、早めにテントを撤収し、6:40に出発。15分ほど縦走路を北上したところで、なぜ昨日道をはずしたのかすぐに理解できた。縦走路は1164mピークを踏まないのだ。北から歩いてきた場合、ピークの20m手前でほとんど直角に右折していたのだった。たしかに右折地点はテープがやたらたくさん巻かれている。


昨日行き止まって一旦1164mピークに引き返した際、もう少し落ち着くべきだった。ザックを降ろして、タバコでも1本吸えばよかった。そうすれば、ピークからさらに戻ってみる余裕も生まれ、この右折ポイントを見つけられただろう。よい教訓となった。


山ノ神ノ頭から縦走路をはずれ、登山口へと一気に下る。着いたのは11時すぎ。予報に反して天気はすこぶる良い。三ノ公川のほとりでインスタントラーメンの昼食をとり、のんびり過ごす。けっきょく今回は他の登山者と出会うことはまったくなかった。そこがまた台高らしいところではある。



地図
北から歩いてきた場合、縦走路はピークの20m手前でほとんど直角に右折。

尾根道
アップダウンが激しいので帰りも同じぐらい時間がかかる。

コーヒー
下山後、河原で昼食とコーヒー。結局誰にも会わなかった。

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久木朋子の木版画