台高山脈縦走(高見山〜大台ヶ原)
■台高山脈■2009年4月30日〜5月4日■テント泊 登ったり、下ったり、登ったり、下ったり。
|
大峰山脈とほぼ平行に峰を連ねる台高山脈。1200m〜1400mの山が中心で、総延長でも大峰奥駈けには及ばない。しかし道中に小屋はなく、エスケープルートもわずか。踏み跡も薄いことから、縦走の難易度は大峰のそれにひけをとらないとか。数えきれない登り降り、ブッシュ、道迷いと水確保の不安。気分がスカッとするピークもお花畑もないけれど、だからこそ“渋さ”という魅力にあふれている。釣りの世界の「鮒に始まり、鮒に終わる」という言葉が思い出されるのでした。 |
雲ヶ瀬山付近から眺めた高見山。 |
4月30日(木)1日目 トモパパ&ママの協力で登山口へアクセス。 |
|
五條市の24時間スーパーで、トモパパ&トモママ車と合流。大淀町下市口駅近くの中吉野駐車場まで並走し、マイカーを駐車。そこからトモパパ&トモママ車で高見峠まで送ってもらう。最終日はバスと電車を乗り継ぎ、大台ヶ原から中吉野駐車場に戻ってくるという寸法。中吉野駐車場は何日停めても1回300円で24時間出入り可能だ。 7:40、縦走開始。荷物を車に残し、まずは高見山をピストンする。トモパパ&トモママはひと足先に縦走路を南下し、伊勢辻山か赤ゾレあたりまで行って戻ってくる予定。 朝から文句のつけようのない快晴。クロツグミが近くでさえずっているが、姿は見えず。空身なので高見山山頂への急登はさほど苦にならない。40分ほどで着いた山頂は誰もおらず、写真を撮ってすぐに下山する。 高見峠に戻って重いザックを背負い、トモパパ&トモママの後を追う。初日とあって足取りはすこぶる軽い。本日の行程はさほど標高差もなく、自然公園のプロムナードかと思えるほど道は広くて快適だ。 ハンシ山への登りで、杉の木の梢にツツドリを発見。「ホッホー、ホッホー、ホッホー」と正確なリズムで鳴く姿を、双眼鏡でしばし観察した。 伊勢辻で大股からの道と合流し、左に折れ、ほんの少しで伊勢辻山に到着。松の木陰で昼食のおにぎりをほおばる。目の前には同じくらいの高さで薊岳が対峙している。気持ちのよいところだ。 伊勢辻山からの下りで、引き返してきたトモパパ&トモママと出会う。赤ゾレ山近くの小池まで行って、のんびり過ごしてきたとのこと。ちなみにトモパパ&トモママは、このあと飯高へと車を走らせ、香肌峡温泉ホテルスメールに宿泊。明日は局ヶ岳に登る予定。 トモパパ&トモママと別れ、歩きだす。馬駈ヶ場、国見山を過ぎ、明神平に着いたのは14:00だった。もう少し歩いて千石山を下ったキャンプ適地に幕営することも考えた。そうすればトータル3泊に短縮できるかもしれないからだ。けれど、水場の状態が不安だったのと、せっかくだからどっぷり山に浸ろうと、予定通りここ明神平にテントを張ることにした。 燃料を温存のため焚き火で湯沸かししたり、バードウォッチングをしていたら、すぐに時間は過ぎてしまった。日暮れとともに気温が急下降したこともあり、19:30に就寝。 |
高見峠の駐車場と登山口。 高見山山頂。ここから縦走が始まる。 ハンシ山山頂。 伊勢辻山山頂へ。気持ちのよい尾根道。 赤ゾレ山の小池。 エンレイソウ。 国見山山頂。 バイケイソウがいっぱいの明神平。 |
5月1日(金)2日目 アップダウンの繰り返しにうんざり。 |
|
霧ノ平に近づくとアケボノツツジが咲いていた。 |
|
夜明けとともに野鳥がいっせいに鳴き出した。アカハラ、コルリ、ルリビタキ、トラツグミ。アオバズクは夜通し鳴いていたと思う。 5:40、明神平出発。今日も天気は良さそう。芽吹き前だが、笹ヶ峰付近のブナ林はやはりきれい。千石山を下りきったキャンプ適地で小休止。水は出ていたが、湧き出す最上部がはっきり確認できないため、ここで汲んだ水はいちおう煮沸したほうがいいかな。 赤グラ山(コクマタ山)への登りは、シャクナゲのトンネル。ただし開花したものはなし。まだ小さな蕾の状態であった。 シャクナゲに囲まれた赤グラ山。 奥の平峰付近から、再びブナやリョウブの木が目立ってくる。そしていかにも気持ちの良さそうな開けた場所が眼前に現われる。池小屋山の名の由来になったといわれる山頂直下の池だ。水を運んででもぜひ1泊したいところである。 池小屋山山頂で南西に進路を変える。ここからはブッシュ気味となり、踏み跡はがぜん薄くなる。注意が必要だ。しかしテープはしっかりとつけられていて助かる。 ホウキガ峰から1時間ほど進んだ銚子谷源頭で水場を確認。水場の表示はないが縦走路東側の下手を注意しながら歩くとわかるだろう。谷に下れば豊富な水が流れている。ただし流水である。本日の泊まり場である霧ノ平の水が涸れていることを想定し、容器すべてに水を汲んでおいた。 ブッシュに難儀しながら弥次平峰を過ぎる。ピンクに染まるアケボノツツジがちらほら。ひょっとしたらアケボノツツジの花を見るのは初めてかもしれない。鈴鹿などでみられるアオヤシオは、アケボノツツジの変種で、一目では見分けがつかない。霧ノ平に着いたのは15:30。今日はいったいいくつアップダウンを繰り返しただろう。 やせ尾根とブッシュのアップダウン。 霧ノ平の水場は問題なく水が出ていた。岩に張り付く苔が濾してくれるのか、不純物はまったく見当たらない。ちなみに水場の場所は、鞍部の東に伸びる谷を2分ほど下り、右手に合流する小さな流れの上部にある。不織布「不思議なめし袋」をつかって米を炊き、レトルトハヤシで腹を満たした。今晩ここで幕営したのは我々だけだった。 |
笹ヶ峰付近。地面にはうっすら霜がおりている。 千石山を下りきったキャンプ適地。 ムシカリ。 池小屋山の山頂直下の池。アオゲラに遭遇。 池小屋山山頂付近のブナ、リョウブの林。 銚子谷。ここを少し下ると水場がある。 アケボノツツジ。ちょっと元気がでる。 霧ノ平。 霧ノ平の水場。 |