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明神平〜桧塚奥峰

台高山系2006年11月3日〜4日山中テント泊
行程[行動時間]
1日目 千秋林道木屋谷橋手前駐車地〜万台橋〜奥山谷出合〜明神平[5時間]
2日目 明神平〜明神岳〜桧塚奥峰〜マナコ谷登山口〜千秋林道木屋谷橋手前駐車地[4時間]
メンバー:トモさん、キュウさん

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水清し。錦秋の奥山谷から、明神平・桧塚奥峰を周回

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秀麗な高見山を正面に見ながら順調に車を走らせる。高見トンネルを抜けて国道を外れ、加杖坂峠を越える奥香肌峡への近道を利用すると、もう千秋林道だ。林道に入って間もなく「ウッソ〜ッ!」。ユンボが道をふさぎ、こちらを追い払うかのようにアームを忙しく動かしていた。工事なんて聞いてないよ。それに今日は文化の日、勤労はよろしくない。「クルマ、通れないです・よ・ね?」「ムリムリ。登山口に行くのだったら、手前にクルマを置いて、歩いてここを通って!」登山口までは歩いて1時間といったところだろう。車で奈良県内に戻って大又から登ることも考えたが、それも面倒なので、やむなくこの工事箇所から歩くことにした。

桧塚
桧塚奥峰から眺めた桧塚
11/3(金・祝) 1日目 予想外の林道工事でコースハイライトつまみ食い

結局、工事現場から、桧塚マナコ谷登山口を通り過ぎ、奥山谷コース登山口に至るまでの林道歩きは、1時間15分かかった。時刻はもうお昼をまわっていた。はじめて歩くコースで、しかもネット情報によると危険箇所が少なくない。さらに日暮れの早い時期ということもあり、到着時間が少々気になった。そこで中間地点である奥山谷出合までは、登山道ではなく、木屋谷側の対岸をほぼ平行に進む千秋林道を利用することにした。ただ、登山地図を見る限り、林道から奥山谷出合に通じる道はない。飯高町HPのイラストMAPのみそれが記されていた。これを信じるしかない。奥山谷出合への下降ポイントはすんなり見つけられるだろうか。


林道歩きはつまらないが、確実に距離をかせげる。また左右の山肌の紅葉も楽しむ余裕が持てた。歩くこと1時間。林道左手の樹にテープが2つ、見落としてもおかしくないくらい、たよりなく巻き付けてあった。奥山谷出合への下降ポイントである。踏み跡かすかな急な斜面を下りきったところが木屋谷川本流であり、そこから30mほど下流に進んだところが奥山谷出合であった。


やっと山歩きができる。妙にほっとした。だが道は安全とは言えない。奥山谷左岸の斜面につけられた道は細く、スリップすれば軽い怪我では済まない。


それにしても綺麗な沢だ。ブナやカエデの紅葉もいい塩梅。いつも世話になっている明神平の水場の、あの1滴1滴がこの沢になっているのだと思うと感慨深い。


道はやがて沢まで完全に降りてくる。こうなると、テープはあまり気にせず、自分が歩きやすいように右岸へ行ったり左岸へ行ったりすればよい。ほとんど水がなくなった頃、右手に行けば、そこは明神平の水場付近。奥山谷出合から2時間がたっていた。


水場上部のサイトにテントを設営。焚火で暖をとりながら早めの夕食をとる。きょうは具だくさんのうどん入り豚汁。少しはなれた団体のテントからお酒のはいった歌声が聞こえてきた。


あっという間に夜になったが、月光のおかげでヘッドライトはいらないくらい。遠くで鹿の悲しげな鳴き声が響く。20時就寝。

工事中
木屋谷橋手前あたりで工事中。

林道
長い林道歩き。紅葉がきれい。

千秋林道から
千秋林道から奥山谷への下降ポイント

奥山谷出合付近
左に沢を見下ろす急な斜面の道。くずれたところは斜面を登って迂回。

奥山谷
奥山谷の紅葉。

明神平
明神平の紅葉はもう終わり。

豚汁
豚汁作り。

11/4(土) 2日目 ノスリとベニマシコとヘリコプタと

起床。焚火をおこして冷えた体をほぐしテントを撤収する。今日も天気は良さそうだ。7時45分、いったん小屋のある草原に出て、明神岳をめざす。草原では今年はじめてのベニマシコ(雌)を1羽見た。明神岳で左折すると、あとは桧塚まで一本道を行くだけ。あいかわらずこの付近のブナ林は派手さはないが美しい。ツグミの群れが来ていた。


やがて警察のヘリコプタが飛来し、桧塚山頂を中心に旋回しながら「○○さ〜ん、○○さ〜ん」と呼び掛けている。道迷いでもしてビバークしたのだろうか。20分ほどあたりを捜索し、桧塚奥峰と桧塚の間の按部で人をピックアップしたみたいだった(山影でよく見えず)。

9時、桧塚奥峰に到着。1番乗りだ。対峙する桧塚の紅葉は、ピークを1週間過ぎたと思われるが、それでもなかなかのものだった。風もなく、30分ほどゆっくりと過ごした。


桧塚奥峰と桧塚の間の按部から千秋峰を下る。途中ノスリを見た。(ケアシノスリのようだったがはっきりとはわからず)樹の梢であたりを鋭く伺い、やがて威風堂々と飛翔していった。


30分ほどで杉の植林帯に入る。そこで単独行者と行き違い、降り立った登山口でもう一人テント装備の単独行者が山へ向かって行った。我々と同じ奥山谷を辿るのであろう。


林道工事のためほとんど人に出会うことのない2日間であったが、それだけに、錦に彩られた秋山との濃密でまったりとした時間が過ごせた山行であった。


ブナ林
葉の落ちたブナ林

カエデ
カエデの紅葉

桧塚奥峰頂上
桧塚奥峰頂上から桧塚を望む

千秋峰
気持の良い千秋峰。冬は風が強いらしいが。

マナコ谷登山口
マナコ谷登山口。ここからさらに車まで1時間歩く。

Kyuki Woodcut site

久木朋子の木版画