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岩湧山

大阪南部2006年8月12日日帰り
行程[行動時間]
岩湧寺〜(いわわきの道)〜ダイトレ合流点〜岩湧山山頂〜(きゅうざかの道)〜岩湧寺[3時間半]
メンバー:トモさん、キュウさん

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真夏の珍花・南蛮煙管に何思う

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こんな真夏に、しかも、いかにも暑苦しそうな岩湧山になぜ登るのか。それは、まだ見たことのない、ナンバンギセルを確認するためである。ナンバンギセル(南蛮煙管)はその名の通り煙管の形をした夏の花。ススキやミョウガなどの根に寄生し、大阪府ではおそらく希少な植物に属すると思う。岩湧山山頂部のあの広いススキの茂みから、果たして見つけることができるだろうか。

ナンバンギセル ナンバンギセル


朝6時前、自宅を出る。なあに、登山口の岩湧寺までは車で10数分。裏山なのだ。道はきゅうざかの道といわわきの道の二手あり、いきなり急坂はしんどかろうと、いわわきの道を選択する。歩き始めてすぐに予想以上の暑さに閉口する。早朝とはいえ無風で、呼吸するのが息苦しい。蚊やアブもいるのでおちおち休憩することもできない。


40分弱ほど歩いただろうか、ダイトレと合流した。稜線は少し風がある。しかしアブの数も増えてきたようで、休まず歩き続ける。岩湧山は、岩崎氏の新・日本百名山に選ばれた山だが、さすがにこんな夏の早朝には人に出会うこともない。山頂が見えてきた。やはり誰もいないようだ。


さてと。まずは腹ごしらえ。握ってきた少しのおにぎりと、庭の畑で穫れたトマトで簡単な朝食をとる。あたりをよく見回すと、山頂一帯は萩が意外に多い。まだ蕾だが開花しかかっているのもある。2週間くらいたったら団子をこねて持参し月見でもしようか、とトモさんと話す。


それではナンバンギセル探しにとりかかる。といっても一面のススキの原のどこを探せばいいか見当もつかない。適当にかきわけてもぐりこんでみるが、見つからない。そうだ、自分達と同じようにナンバンギセルを探しに来ている人がここ最近いるはず。ススキをかきわけた形跡のところをあたってみよう。あ、これだ! 最初に目に入ったのは黒く枯れかかったのが一輪。さらに奥に進むと開花したばかりのが3輪見つかった。う〜ん、なるほど煙管だ。見ようによってはエイリアンの口先のようで、すこし気持ち悪い。写真に収める。


この植物は万葉集に詠われている。「道の辺の尾花がもとの思い草 今さらになど ものか思はむ」(ススキだけを頼りに咲くナンバンギセルのように)私はあなた一人を頼りに生きているのですから今さら何ひとつ考えることはありません、という意味だそうな。その形を、小首を傾けてもの思う佳人にたとえているらしい。


いつのまにか陽が高くなっていた。目的が果たせたので長居は無用。凍らせてきた麦茶が完全にとける前に、そそくさと山を下りよう。


カヤ
岩湧山名物のカヤ(ススキの一種)をかきわけて

ナンバンギセル
あったーーー!ナンバンギセル

シシウド
シシウド

コオニユリ
コオニユリ

カワラナデシコ
カワラナデシコ

ハギ
ハギもちらほら咲き始め

ヤマジノホトトギス
ヤマジノホトトギス

ヒヨドリバナ
ヒヨドリバナ

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久木朋子の木版画