奥駈縦走4(釈迦ヶ岳〜熊野本宮)
■大峰山系■2010年5月2日〜5月5日■山中テント泊 地味だけど、味わうようにしみじみ歩きたい南奥駈 |
今年の春は非常に天候が不順。4月は3日と晴れが続かず、おまけに寒い。冷たい雨の中を歩くのは嫌だな〜と思っていたら、ゴールデンウィーク期間中、連日晴天。気持ちよく南奥駈を縦走することができた。 |
天狗山から地蔵岳へ向かう奥駈道。 |
5/2(日)1日目 まずは、太尾登山口から釈迦ヶ岳へ。 |
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問題は初日と下山後のアクセスである。奈良交通バスの大和八木と新宮を結ぶ路線は、日本で最も距離が長いバス路線らしい。バス好きにはたまらないそうだが、乗車時間や本数の点で我々には少し辛い。そこで、釈迦ヶ岳太尾登山口までマイカーで移動し、縦走中、車はそこに置きっぱなし。下山後、トモさんのご両親にピックアップしてもらい、太尾登山口へ送ってもらうことにした。そのためだけに本宮まできてもらうのもなんなので、下山日、ご両親は渡瀬温泉の旅館にご宿泊。我々は旅館近くのキャンプ場に泊まり、合流することにした。 朝7時に太尾登山口に着くと、駐車スペースはすでに車でいっぱい。50mほど戻り、路肩の広いところに駐車した。 登山口自体かなり標高の高いところにあり、歩き出してすぐにブナが現れる。笹原と疎林が交互に展開する、開放感ある尾根道だ。 今日の泊まり場、持経ノ宿の水場が枯れている場合を想定し、千丈平の水(行者の隠し水)をボトルに詰める。 釈迦ヶ岳山頂に寄り、奥駈道を南下。深仙ノ宿にかけてシロヤシオの木が大変多いのだが、蕾はまだまだ小さい。いつか満開の頃に来てみたい。 深仙ノ宿でひと休み。単独のおじさんと若い男女のテントが2つ。単独のおじさんは3日間ほどここに泊まり、周辺の谷などを気ままに歩いているという。 太古ノ辻からいよいよ南奥駈がはじまる。アップダウンのしんどさはいたしかたがないが、あいかわらず展望がよくて歩きやすく、ずっとこんな道だったらいいなと思う。 広々とした天狗の稽古場で倒木に腰をおろし昼食。遠くからツツドリの声がする。近くにアカゲラもいるようだ。のどかである。 天狗の稽古場。広々してて気持ちの良いところ。
持経ノ宿に到着。小屋には入らなかったが、数人がくつろいでいる。単独と思われる外国人女性もいる。大峰の山中で外国人を見るのはこれが初めて。 林道を5分ほど歩いたところに水場があり、近くの林道のふくらみにテントを設営。その後、水場の水でタオルを濡らし、汗ばんだ体を拭いた。すっきり。尚、水場の水は流水であり、飲用は煮沸するつもりだった。しかし、そこから60m程林道を進んだところに湧き水があったので、煮沸する手間が省けた。 |
太尾登山口。 楽しい尾根道歩き。釈迦ヶ岳がみえた。 千丈平の鹿は逃げない。 太古ノ辻。ここから南奥駈が始まる。 嫁越峠。昔嫁入りの時だけ女性が奥駈道に踏み入ることのできた場所とか。 気持ちのいい尾根歩きが続く。 乾光門。笹ノ宿跡。 証誠無漏岳付近。急なアップダウン。 持経ノ宿。小屋の周りはほとんどスペースがない。 |
5/3(月)2日目 今回一番しんどかった笠捨山への登り。 |
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行仙岳をすぎたあたりから笠捨山を眺める。 |
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持経ノ宿を出てきっかり1時間、平治ノ宿に着く。意外にテントスペースは狭いなと思っていたら、小屋の裏にもスペースがあり、実際2〜3のテントが張ってあった。 転法輪岳、倶利迦羅岳を越え、しばらく行くと車の音が聞こえてきた。国道425号の白谷トンネルの真上あたりを歩いているようだ。国道425号は、標高1000m付近を走る山岳道路。ずいぶん昔、いつ何かあってもおかしくないオンボロのプジョーで走ったことがある。道は狭くて対向車と離合できない部分が多く、まさに酷道。故障して動かなくなったらどうしようと、ヒヤヒヤしながら運転した記憶がある。 行仙岳付近から笠捨山、地蔵岳方面の展望が開ける。休憩していると単独の若者がやってきた。聞けば、はるばる福島県からやってきて、吉野から縦走中とのこと。 行仙宿山小屋の少し手前で、登山道上にはりだした枝に何かひっかかっている。近づくとエアマットだ。カスケードデザイン社製ではないようだが、それでも少々値ははる代物。落とし物を誰かが拾ってわかりやすいように掛けておいたのだな。いやいや、これは見覚えがある! さっきの若者のだ。ザックの上に装着してたから、枝にひっかかったのに気ずかず、そのまま行ってしまったようだ。走って追いかけた。けっこうペースが早い若者だったから、ここで追いつかないと、二度と会えないだろう。5分くらい走って、無事持ち主に戻すことができた。 しばらくして、30歳くらいの単独外国人男性とすれ違う。それにしても日差しは強く、暑い。このゴールデンウィークは全国的にも記録的な暑さだという。笠捨山への登りは、思いのほかこたえた。 葛川辻で水場の確認および水汲みをする予定だったが、21世紀の森の古屋の水まで十分行けそうなので、やめておく。しかし地蔵岳のクサリ場ではトモさんが遅れ気味。特に垂直に近い場所では見ていてヒヤヒヤだった。 東屋岳を過ぎてしばらく行ったところに「水場15分」の表示あり。確認しに行く。左の斜面をどんどん降りると岩場の苔からポタポタと水が落ちている。1リットルためるのに30分以上はかかるだろう。踏み跡はさらに続いており、沢まで降りれば水は確実に確保できると思う。でも相当時間がかかりそうなのでやめておいた。 古谷宿跡手前に「古屋宿の水15分」のしっかりした道標がある。明日玉置神社まで水場がないことと、いっぱい汗をかいた体をさっぱりさせたかったので、躊躇なく古屋の水がある21世紀の森へと下る。21世紀の森はいちおう公園ではあるが、どこからが公園の敷地なのかわからないくらい、山と一体化した広大な公園である。登山者の幕営は黙認されているみたいだ。外国人を含む若い3名パーティーがすでにテントを張っていた。 21世紀の森公園へ下りる。 とにもかくにも、古屋宿の水を浴び、飲み、体のすみずみを拭く。そして適当なところにテントを張らせてもらった。日が暮れてから下りてきた単同行者もいて、けっこう奥駈縦走者に幕営地として利用されているみたいだ。 |
平治ノ宿。このあとコルリに出会う。 行仙岳。 行仙岳からの眺め。遠くに釈迦ヶ岳が見える。 笠捨山。 地蔵岳への登り。 地蔵岳の下り。このあとずり落ちてきたトモさんのシリを下から支えることになる。 21世紀の森公園が見えた。このあたりまでくるとはすっかり新緑。 |
5/4(火)3日目 金剛多和ノ宿のテント場で、まったり。 |
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五大尊岳付近からアケボノツツジと熊野川。 |
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アカショウビンの鳴き声を背に、21世紀の森を発つ。約30分で縦走路に復帰し、玉置山に向かう。舗装された道路と交わる箇所がところどころあり、標高がかなり下がったことを実感する。 花折塚手前、道路脇の草地にクロツグミを発見。1年ぶりの再会。我々の姿に驚いて飛び立ち、近くの松の木に止まって、美しい音色を聞かせてくれた。 玉置神社に到着。社務所前に休憩用の椅子とテーブル、さらに熱いお茶が用意されおり、遠慮なくいただく。山深いところにある神社であるが、参拝者、ハイキング客が続々とやってくる。白い衣を着た神社関係者の人数も多い。水は問題なく出ていた。5リッターほど確保したため、ザックが一気に重たくなった。 今日はスローペースで歩く。また、どこまでは進んでおこうという目標もない。明日は渡瀬温泉のキャンプ場泊まりで、明日昼頃に下山すればよいわけだから、あまり前進する必要がないのだ。 玉置神社を発って最初に道路と交わるところが玉置辻。ここで少し道を間違えた。玉置辻から数十m道路を歩いたところの右手に林道が伸びていたが、ゲートで塞がれていたし、通行禁止と書いてあったため、まっすぐ道路を歩いてしまった。なにかおかしいので引き返すと、林道を行くのが正解だった。通行禁止は車に対してのものらしい。 大森山へ向かう。 篠尾辻を過ぎてからは細い稜線となり、落ち着いて休憩するところがない。五大尊岳山頂も狭いし、そこからも急な下りが続く。しかしアケボノツツジやシャクナゲの花がちらほら。気分を和ましてくれる。 アケボノツツジ。 金剛多和ノ宿に着く。ここならテントが4つや5つは張れそうだ。まだ15時前だけれど、今日はここに泊まろう。水場はないが、落ち着ける場所だ。日が暮れるまでのんびりと過ごした。 |
花折峠。 玉置山にむかうカツエ坂。餓坂と書くらしい。おなかがすいた。 玉置山山頂。 玉置神社。神社の人がとても親切。 五大尊岳山頂。 シャクナゲ。 金剛多和ノ宿。 |
5/5(水)4日目 人で溢れる熊野本宮大社へ。 |
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吹越峠から熊野本宮大社の大鳥居がよく見える。 |
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出発準備をしていると、男性の2人組が追い越していく。どこに泊まったのか尋ねると、あの狭い五大尊岳山頂とのこと。ぎりぎりまでがんばったけれどそこで力尽きたらしい。 山在峠は標高265m。とうとう300mを切ってしまった。そのためとても暑い。もう夏のようだ。 吹越ノ宿跡。 吹越峠でゆっくり景色を眺める。眼下は熊野川と本宮大社の大鳥居もはっきり見てとれる。よく見ると、あの2人組が熊野川を渡っている。気が変わって、僕らも昔の人と同じように川を渡って本宮大社にゴールすることにした。 トイレに水道(飲用不可)、それに遊具もある七越峰の公園を通り、最後の下りにとりかかる。七越峰というだけあって、7回ほどアップダウンを繰り返す。 登山口に下山。河原に降り立ち、浅そうなところを探す。幸い水量は多くない。膝程度だ。怪我しないように靴下を履いたまま渡る。 大鳥居をくぐり、本宮大社へゴール。ゴールデンウィークとあって、かなりの観光客でごった返している。きっと汗臭いのだろうから、人ごみの中、足早に通り過ぎ、バス停へと向かう。今日は渡瀬温泉のキャンプ場に行き、のんびり過ごすだけだ。日帰り温泉施設がキャンプ場に隣接しているのが嬉しい。下戸の僕と違って、トモさんはビール、ビールと連呼している。早くバスが来ないかな。 このページのはじめにもどる。 |
標高が低くなったのでずいぶん緑が増えた。 山在峠あたりから眼下に熊野川が見える。 熊野川を渡る。 大鳥居をくぐってゴール。 バスの時間がせまっているので駆け足で本宮大社へ。もうで餅を食べ損ねた。 |