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弥山川・狼平

大峰山系2007年9月22日〜23日山中テント泊
行程[行動時間]
1日目 熊渡〜釜滝〜双門滝〜ザンキ平の肩〜河原小屋[7時間]
2日目 河原小屋〜狼平〜高崎横手〜ナメリ谷〜金引橋〜熊渡[6時間]
メンバー:トモさん、キュウさん

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大峰最大の難所、弥山川ルートを行く

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いままでここは危ないからとキューさん単独でしか登らなかった弥山川ルートを初めて2人で登る。荷物を極力減らして、泊まりも狼平の手前、河原小屋にして時間をかけてゆっくり登る。

弥山川
大峰の秘境、弥山川。

9/22(土)1日目 とにかく前に進むしかない。もう後戻りはできません!


熊渡に車を止め、8時40分林道を登りはじめる。もう彼岸だというのに残暑がきびしい。林道脇にはアケボノソウが満開だ。金引橋の手前、双門滝コースの案内板が立っているところへ入って行く。


水のない広い河原を歩く。白川八丁だろう。1時間ほどで釜滝到着。釜のように岩に囲まれたた滝の水が美しい。おにぎりを食べて休憩をとる。


このあたりからかなり道も悪くなってくる。木のハシゴがぬれてつるつるすべって登りにくい。ハシゴの落ちたところは高巻きして登って行く。川を渡らなければならないところでは、キュウさんはなんとか岩の上を渡っていったのだが、私はすべってこけそうな気がする。そこで浅いところを靴を脱いで渡ることにした。渡ってから靴を履いていると中高年の男女の3人組はさっさと岩の上を渡っていった。その後単独の青年は渡れそうなところを探したあげく靴のまま川の中をザブザブ入って渡っていった。みんな色々だな。


この後もずっと沢沿いの岩登りが続く。ぬれた岩はつるつるすべる。登るにつれて岩が大きくなり足場をみつけるのも大変だ。なかなか足場がみつけられず途方に暮れてもう引き返そうかなあと考えた。がそこで気がついた。こんな大変な岩場を下るのはもっと危険だ。私にはぜったいに下りれない。なんと登りきるしか選択肢はないのだ。今頃気付くなんて・・・。その場は先に登ったキュウさんが上から登りやすいところを指示してくれてなんとか迂回してのりきった。


12時吊り橋到着。一ノ滝、二ノ滝を眺める。岩の上でお昼ご飯を食べる。やっと少し落ち着いて景色を眺めることができる。絶壁だ。この谷はスケールが大きい。


ここからは鉄ハシゴの登りがつづく。垂直、水平、斜めに傾いたものまでずーとハシゴだ。ハシゴのないところは急な登り。かなり疲れるが沢沿いの危険な岩場よりは少しはまし。しかし腕が筋肉痛になりそうだ。


1時半、とうとう名瀑100選の双門滝がみえる仙人グラ前のテラスに到着。このあとは沢から離れて急斜面を登っていく。暑さがこたえる。登りきったところザンキ平の肩で休憩。ここからどんどんハシゴを下って、また沢にでる。ハシゴがつづく。


沢沿いを歩き、3時40分、河原小屋到着。小屋の近くにテントを張る。途中何度か出会った、3人組のパーティーは小屋泊まりのようだ。後からやってきた2人組の若者は狼平までいった。とにかくここまで無事たどり着けたことにほっとする。


豊富な川の水で汗を流し、木を集めて焚火をしながら夕食をとる。今夜は月が明るい。そう言えばもうすぐ十五夜だ。疲れ果ててぐっすり眠る。

河原小屋
河原小屋。



熊渡
熊渡に車を停める。

アケボノソウ
アケボノソウ。このときはまだ花を眺める余裕があった。

釜滝
釜滝。澄んだ水が美しい。

 渡川
川を渡る。岩の上をぴょんぴょんぴょんとはなかなかいかないものなのだ。

 吊り橋
吊り橋から一ノ滝、二ノ滝を眺める。

鉄バシゴ
延々とつづく鉄バシゴ。

 双門滝
双門滝。仙人グラ前のテラスから。

 ザンキ平の肩
ザンキ平の肩。

9/23(日)2日目 狼平までの厳しい道のりとのどかで美しい初秋のブナ林
コケ
狼平のコケ。


今日も危険な沢沿いの岩登りがつづくので朝は早めに出発。時間をかけてゆっくり登る。


何度も川を渡る。とうとうすべってはまってしまう。あわてて川から上がったので靴の中までは濡らさずにすむ。こんなことならスパッツでもつけて浅いところをザブザブ入って渡ったほうが早くて安全だったなと思う。


昨日よりも厳しい岩場がつづく。巨岩が連なりなかなかすごい景色なのだけれども、眺めている余裕がない。とにかく足場を探してジリジリと自分の身体を引き上げていく。なんだかアリになった気分だ。

岩のぼり
まだまだ岩を登るのだ。

桶の谷出合あたりは難所がつづく。絶壁の吊りハシゴを登り、鉄杭の足場を渡って行く。行くしかないのでほとんどなにも考えない。聖門の滝などまったく記憶にない。

絶壁
絶壁の鉄杭の上を歩く。もう頭の中は真っ白だ。

2時間半もかかってやっと狼平に到着。結局いままで登ったどの山よりも剣よりも槍よりも一番怖い山行だった。ここから八経ヶ岳へは以前残雪期に登っているので今日はもう下山する。頂仙岳の横を通ってナメリ谷を下る。


狼平からの尾根道はまるで天国のよう。ルリビタキが飛んでいる。子連れのシカが目の前を横切った。ブナ林の秋の木漏れ日がさわやかだ。やっと秋山に登った気分だ。


10時30分、川合に向かう尾根道からナメリ谷への取付きが見逃しやすいが以前きているのでまちがえることもなくここで休憩。後はどんどん下るだけ。前回は登りでこの尾根への取付きがわからずに少し迷ったのだ。


11時45分、金引橋到着。橋でラーメンをつくって食べる。車まで林道を30分ほど下って、無事下山。


渡川
今日も何度も川を渡るのだ。

岩のぼり
今日も何度も岩を登るのだ。

岩のぼり
どうにかこうにか登るのだ。

吊りバシゴ
オーバーハングの岩にかけられた吊りバシゴ。

狼平
なつかしの狼平。ほっと一息。

鹿
楽しい尾根歩き。シカに遭遇。


ブナ林
ブナ林の中を歩く。


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久木朋子の木版画