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伊勢辻山〜明神平〜薊岳

台高山系2006年9月23日〜24日山中テント泊
行程[行動時間]
1日目 大又/和佐羅滝登山口〜和佐羅滝〜伊勢辻山〜国見山〜明神平[5時間半]
2日目 明神平〜前山〜薊岳〜大鏡池〜大又/和佐羅滝登山口[5時間]
メンバー:トモさん、キュウさん

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夏と秋の間の明神平で、1泊。

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まだ紅葉には早いが、涼しくなり、山中泊にはいい時期になってきた。場所は、今年はまだ一度も行っていない明神平に決定。テント泊まりだから時間には余裕がある。ならば大又から伊勢辻山を経て明神平へ、さらに薊岳から下る周回コースを初めて歩いてみることにしよう。

9/23(土) 1日目 前半は単調だが、伊勢辻〜明神平は清々しい稜線歩き

大又集落に駐車適地はないので、最後の民家からさらに50mほど林道終点方面へ行ったところの路肩に車を停める。10:20、ザックをかつぎ、集落のほうへと戻る。明日下りてくる笹野神社の前を通り、集落を過ぎると間もなく和佐羅滝への登山口が右手に現れる。


すぐに道は二手に分かれる。結局はあとで合流するのだが、せっかくだから和佐羅滝を見ておこうと左へ。30分ほどして和佐羅滝下部に着いた。が、滝を見るには足場の悪い道を進まなくてはいけないのと、滝から先はもっと悪路になるのがわかっていたので、ここはあっさりと予定変更。滝の下部から右に伸びた急坂の脇道を登り、やがて本道に合流した。


ここからもずっと沢沿いの植林帯を歩くことになる。が、さすが吉野杉の産地。気持ちいいとは言わないが、いつもの放棄された植林と違い、林内は明るく、道もくずれそうなところは野面積みの石垣を施すなど、軽快に歩くことができる。


しかしそんな道も2時間も歩いているとさすがにいやになってくる。だんだん道は細くなって草が茂りだし、ハエなど虫も多いので休憩もなかなかとれない。ここは下山ルートにしたほうが良かったかな、と思った。歩きはじめて約3時間、急な坂の先にススキの原が見えてきた、そこが伊勢辻山のピークだった。


気持ちのいいところだ。薊岳や前山もよく見える。木陰で昼食のおにぎりを食べ、再び歩き出す。ここからは打って変わって、終止気持ちの良い道が続く。ブナ、ナラ、カエデが混じる自然林で、ところどころ展望のよいところもある。今年はブナの実が不作というが、たしかに落ちた実はあまり見かけることはなかった。


何度かアップダウンを繰り返し、国見山到着。展望はない。ここから明神平へは30分ほど。太陽が低くなってきたので先を急いだが、このあたりもブナを主体とする気持ちの良い道である。


明神平に着いたのは16時前。18時には暗くなるのでまずはテント設営。今回初めて非公開の天理大学山小屋の裏手のブナ林にテントを張った。広々しているが完全なフラットな部分は意外と少ない。今日の泊まりは、我々以外には単独行者が2名で、彼らはいずれも草原のほうにテント張っていた。


ブナ林には期待したほど鳥はいなかった。オオアカゲラ、コゲラ、ゴジュウカラ、その他のカラの仲間、あとはカケスのみ。渡りの鳥や冬鳥はまだ来ていなかった。


薪を集めて焚火をたき、レトルトカレーのいつもの安易な夕食。その後、梅酒のお湯割りとチョコレートでまったりする。やがて霧が林を覆い気温も下がってきたので、20:00に就寝した。


焚火
さすがに日が暮れると寒い

林道
林道の路肩に駐車して登山口にもどる

植林
杉の植林帯を歩く

ホコリダケ
ホコリダケ

二俣
歩き始めて約2時間で二俣。さらに1時間沢沿いの植林帯が続く。

伊勢辻山
ススキに囲まれた伊勢辻山

赤ゾレ山付近
赤ゾレ山付近

ブナ林
国見山付近からブナが多い

明神平
明神平が見えてきた

ブナ林
ブナ林の中にテントを張る

水場でみつけた骨
水場でみつけた鹿のあごの骨

9/24(日) 2日目 久しぶりの薊岳から下山。

早く寝たので、当然早く目が覚める。まだ4:00だ。暇つぶしにFMラジオをつけると、サモアではなくてサマワに派遣され戻ってきた自衛隊上官がゲスト出演し、現地でのよもやま話を何やらしていた。内容はよく憶えていないが、番組提供は政府機関のようで、ラジオにしろテレビにしろこんな時間帯だと珍しい番組に遭遇するもんだな、と思った。


夜が明けてきた。テントから顔を出すと一面真っ白。砂嵐ではなく霧がたちこめていた。焚火をたいて暖をとりつつ即時撤収。冷たい風が吹き雲が多く、今日の天気がちょっと気になった。


明神平からまっすぐ南に少し登り、三ツ塚で右に進路をとり薊岳への気持ちの良い稜線歩きとなる。幕営装備ということもあって1時間で着くだろうとふんでいたけれど、結局薊岳までは1時間半を要した。数年前、腰くらいまで積雪があった日に、今日と同じように明神平から薊岳をめざしたことがあった。あのときは10分くらいかけても20〜30mしか進まずあっさり撤退したが、もしあのまま進んでいてもその日中に薊岳に着くことはなかっただろう。壺足じゃあね。


薊岳から道はシャクナゲの根っこが張り出したヤセ尾根となって歩きにくくなる。しかしそれもそんなに長くは続かず、ブナが目立つようになると幾分歩きやすくなってくる。足もとを見ると時々ブナの実が殻つきで落ちている。持ち帰って庭に植え、芽が出たら山に返そう、と虫食いでないのを少しポケットにしのばせる。この頃から雲がとれ、いい天気になってきた。


やがて高度も低くなり植林帯に入ると、前方に大鏡池が見えてきた。以前は密集した杉に遮られ、意識しないと見落としてしまいそうな池だったが、今は池の周囲がかなり広範囲に伐採され、真新しい祠(大鏡神社)も建っている。どうも祠の材料や土台の石などをヘリで運ぶために伐採したようだ。池そのものは干上がり気味なのか水草が茂りすぎているのか、目立たないという点では以前のままだった。


どんどん下る。植林帯でつまらないので下るしかない。大鏡池から約1時間、笹野神社に出るつもりが、直前で間違ったらしく、昨日の和佐羅滝登山口付近の舗装林道に出てしまった。あとは大又林道を少し歩いて車の所へ戻るだけ。心配していたスズメバチやマムシに出会うこともなく、まずまず快適な2日間であった。

朝
霧につつまれた明神平の朝

三ツ塚分岐までの道
三ツ塚分岐までの道

薊岳までの道
薊岳までの尾根道

薊岳
薊岳頂上から見た木ノ実ヤ塚

薊岳からの下り
薊岳からの下り。木の根の張り出したヤセ尾根

大鏡神社
大鏡神社。前に小さな池がある。

登山口
舗装林道に下りてきた。道をはさんだ向かい側には昨日入った登山口

笹野神社
笹野神社。ここに下りてくるはずだったのが・・・

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久木朋子の木版画