五條から国道168号を南下し、大塔より高野天川線を走る。天ノ川の渓流釣りが解禁となり、路肩に停めた釣師の車が目立つ。和田発電所に着くと、少しだけ戻って、カーブのふくらみの広い路肩に車を停める。他に登山者のものと思われる車はなく、先行者はいない模様。
9時5分登山開始。橋をわたって発電所入口まで行き、さらに右手の小橋をわたって植林の山道を行く。木を運ぶトロッコのレールが敷かれており、比較的手入れがされている植林地だ。進むにつれ除々に傾斜が増してくる。
それにしても今日は寒い。風が冷たい。急登が続くがゆっくり休むこともできない。まだまだ冬だ。標高を上げるごとに少しずつ雪が増えてくる。といってもせいぜい10センチ程度。登りではけっきょく軽アイゼンをつけることはなかった。
10:55、川瀬峠を越える。ここからは尾根道。たえず風があたり、寒い。しかしブナを含む広葉樹の自然林となり、気持ちのよいトレイルだ。
いくつかアップダウンを繰り返していると樹の枝に天和山の山名板がある。あっけなく山頂に着いたのだ。休憩はここから20mほど南に下った台地が最適。風もなく、木が刈られているので大展望がひろがる。正面に弥山・八経、さらにそこから釈迦ケ岳へと続く奥駆の稜線、左に目を転ずれば稲村ケ岳と大日岳もくっきりと見える。大峰の核心部をこれだけ見渡すことができるのは、おそらく天和山だけではないだろうか。
おにぎりとビスケットを胃におさめたのち熱いコーヒーで一服。春になって暖かくなったら、真正面の神仙平から奥駆けに合流し稜線上でテント泊しようか、などとトモさんと話す。2月は嘘のように暖かかったが、このところの寒さ(例年並だが)では、3月のテント泊はキツそうだ。
12:00、軽アイゼンをつけ下山する。シジュウカラ、コゲラ、ヤマガラの混群と出くわし、しばし声に耳を傾ける。この時期、さえずりとはまだ言いがたい。
13:45、和田発電所に戻る。登りが急だったぶん、下りはあっけない。そして他の誰にも会うことはなかった。早く家に帰って泥のこびりついたアイゼンを洗うこととしよう。
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天川村和田発電所
送電線に沿って急な坂を登っていく。
植林帯の中、急斜面を直登。
尾根にでる手前、雪の積もった足場の悪いところ。
風が強い尾根道。さっきまで汗をかいていたのに、たちまち凍える。
何度かアップダウンを繰り返し、大きな松がある斜面を登りきったら頂上
頂上からみた神仙平
頂上からみた大日・稲村ヶ岳
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