奥駈縦走2(吉野〜五番関)

大峰山系2009年4月18日〜19日テント泊
行程[行動時間]
1日目黒滝村春日神社・鳳閣寺〜百貝岳〜奥千本〜青根ヶ峰〜四寸岩山〜足摺茶屋跡〜百丁茶屋跡[5時間30分]
2日目百丁茶屋跡〜大天井ヶ岳〜五番関〜(新道)〜百丁茶屋跡〜足摺茶屋跡〜四寸岩山〜愛染宿跡〜鳳閣寺・春日神社[9時間30分]
メンバー:トモさん、キュウさん(報告者)

地味で敬遠していた吉野〜五番関間。
桜見兼ねて歩いてしまおう。

未踏であった吉野〜五番関間の奥駈道を歩く。暖かくなってきたので百丁茶屋でテント泊。奥千本付近以外は静かな山行を味わえるだろう。
奥駈縦走1(2008/4/26〜28)

奥千本

吉野の奥千本。観光客にまじって少し散り始めた桜にしみじみ。


4月18日(土)1日目 これまた地味な百貝岳を経て、奥駈道を南下

黒滝道の駅から地蔵峠を経て、百貝岳登山口である春日神社に着く。駐車スペースは4〜5台分。道向かいにも未舗装の駐車スペースがあるが、ここは私有地。しかし、たまたまやってきていた地元の方に一晩停めることを伝えると、「私有地のほうに停めていいよ」とおっしゃったので、ありがたく使わせてもらった。

9:20、春日神社を出発。車道を100mほど歩いたところが鳳閣寺で、ここから山道が始まる。百貝岳へと向かうのだが、百貝岳を巻いて手短に吉野に達する道もある。

やや急な道に出ばなをくじかれながらも、30分もすると百貝岳山頂にひょっこり飛び出す。展望はない。いったん下って、くだんの巻き道と合流。このあたりの植林はさすが吉野だけあって、手入れが行き届いており、1本1本がすくすく育っているように感じる。

西行庵への道標に従って、奥千本へ。このあたりまで来ると、街着の観光客でいっぱいだ。奥千本は2日前が満開のピークで、今は散り始め。だがソメイヨシノとは違いヤマザクラだから、満開を過ぎても風情がある。腰を下ろし、トモさんがつくってくれたそぼろ弁当に舌鼓を打つ。

腹ごしらえが済んだところで、観光客でいっぱいの吉野に長居は無用。歩き始める。青根ヶ峰までは観光客も足を伸ばすようだ。狭い山頂は人で埋まっていたため、ザックも降ろさず先に進む。

いったん車道(林道吉野大峯線)に出て、再び山道に入る。このあとも2回ほど、車道を横切ったり、車道上を歩くところがある。



試み茶屋跡、五十丁茶屋跡、森屋茶屋跡と高度を上げていき、四寸岩山に到着。西面の展望が良い。遠くに弥山も確認できる。弥山の山腹は縞模様のように白い筋が見えるが、雪ではないだろうか。この時期としては記録的な熱さが続いているので確信できないが、たぶん雪だと思う。花粉症のためコンタクトではなく眼鏡をかけてきたトモさんは、度が合わないのか縞模様さえ認識できないという。



せっかく登ったのに、四寸岩山からは一気に下降。広々とした台地に降り立つとそこは足摺茶屋跡で、近年建てられた足摺茶屋小屋がある。水場はなく、小屋に床はないので宿泊には向かない。

さらに下って、車道を少し歩き、また山道に入る。奥駆古道と新道に分かれるが、どちらを選択してもほどなくして合流するからどちらでも良い。今回、古道と新道に分かれる箇所は他にもあったが、要するに新道は巻き道のことのようだ。

14:55、今日の目的地、百丁茶屋に到着。二蔵小屋前の広場の隅にテントを設営。そして8分ほど歩いた所にある水場へ今日明日の水を汲みにいく。もし涸れていたらとずっと気になっていたが、4日前にまとまった雨が降ったこともあり、水は勢い良く出ていた。冷たくてうまい水だ。

二蔵小屋には若者2人組が宿泊。この日はけっきょく僕達以外は彼らだけであった。

FMラジオの入り具合が悪くて音楽が聴けないし、日中熱くて疲れたので、なんと19:30に就寝してしまった。

ヒトリシズカ

ヒトリシズカ。


百貝岳

百貝岳山頂。


奥千本

ヤマザクラの赤みがかった葉もきれい。


宝塔院跡

宝塔院跡。ここから奥駈道に入る。


奥駈道

奥駈道から吉野を眺める。


四寸岩山

四寸岩山から弥山方向を眺める。


足摺茶屋跡

足摺茶屋跡。


ハシリドコロ

毒草ハシリドコロ。


二蔵小屋

設備の整った二蔵小屋。


4月19日(日)2日目 泊まり場、百丁茶屋跡から五番関へ。そしてUターン

奥駈道

試み茶屋跡近くの奥駈道。初夏の陽気で暑いぐらい。


3:30起床。菓子パンの朝食を済ませ、テントをそのままにして4:45に出発。五番関に直接向かう新道(自然歩道)ではなく、大天井ヶ岳に達する古道を歩く。



大天井ヶ岳は、今回歩いた部分では顕著なピークであり、山頂に近づくにつれ斜度が増してくる。補助ロープが設置されているところもある。途中の小天井茶屋跡は石垣が残っており、平坦で休憩に適していたが、冷たい風をまともに受けるのでパス。大天井ヶ岳山頂には6時きっかりに着いた。



陽が昇りきっていないので大天井ヶ岳山頂も寒く、休まず五番関へと下降。しばらく進んだところで、鹿2頭が目の前を全速で横切り、がけを一瞬で駆け下りていった。さすが山を住処とする動物は違う。



五番関では女人結界門が立ちふさがり、ここから先、女性は立ち入ることができない。



くるりと向きを変え、百丁茶屋跡へと戻る。ただし、帰りは新道を利用。大天井ヶ岳の巻き道なので、おおむね水平で楽だ。ただし、ザレた箇所ではずり落ちないように若干の注意が必要。そういうところには大概ロープが設置してある。



この道には2箇所水場がある。沢の源頭なので、涸れることはなさそうだ。百丁茶屋跡に泊まる際、もし百丁茶屋跡の水場が涸れていたら、ここまで汲みに来なくてはならない。ただ、片道30分は覚悟する必要がある。


百丁茶屋跡のテントを撤収し、昨日来た道を戻る。熱さがこたえる。大阪市内はこの日、気温30度に達したとか。



四寸岩山で昼食をとるつもりだったけど、新緑前の現在は日陰が見当たらず、スルー。そこから20分進んだ適当なところでインスタントラーメンを食す。

車道では、付近に車を停めて、タラの芽を採る人が何人かいた。僕たちは2週間前にタラの芽をたらふく食ったので、もういいだろう。杉林の中でゴソゴソ音がするので見てみるとアナグマだ。しばらくじっとこっちを見てゆっくり去って行った。

昨日と変わらず観光客で賑わう奥千本界隈を足早に通り過ぎ、愛染宿跡で奥駈道をはずれる。もう百貝岳には寄らず、巻き道で下山。

春日神社の駐車スペースには2台だけ車が止まっていた。時刻は14:40。ザックを車に放り入れ、地蔵峠へ直行。冷たい水で喉を潤したり、着替えたりして、すっきりした気分で黒滝村を後にした。

(見た鳥) オオルリ、ルリビタキ、ソウシチョウ、アカゲラ、アオゲラ、コゲラ、ヒガラ、ヤマガラ、ゴジュウカラ、カケス、ミソサザイ

(声を聞いた鳥) ツツドリ、アオバト、イカル、キビタキ、アオバズク

(見た哺乳動物) アナグマ、ニホンジカ

大天井ヶ岳

大天井ヶ岳。


山頂

大天井ヶ岳の山頂。


大天井ヶ岳からの下り

大天井ヶ岳からの下りもきつい。


五番関

五番関の女人結界門。ここから先山上ヶ岳を越えて阿弥陀ヶ森分岐の女人結界門まで女性は入れません。


新道

新道は巻道が多いのでアップダウンが少ない。がザレたところはちょっとこわい。


百丁茶屋跡

百丁茶屋跡の二蔵小屋。


役行者

足摺茶屋跡にあった小さな役行者(?)像。水色のはタバコの箱。


鳳閣寺

登山道から鳳閣寺の裏にでた。


Kyuki Woodcut site

久木朋子の木版画