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荒川三山・赤石岳

南アルプス南部2008年7月21日〜24日キャンプ場テント泊
行程[行動時間]
1日目 畑薙第一ダム手前夏期臨時駐車場〜(送迎バス)〜椹島ロッジテント場[乗車1時間]
2日目 椹島ロッジテント場〜小石下〜清水平〜駒鳥池〜千枚小屋テント場[7時間20分]
3日目 千枚小屋テント場〜東岳(悪沢岳)〜中岳〜前岳〜荒川小屋〜大聖寺平〜赤石岳〜赤石小屋テント場[11時間30分]
4日目 赤石小屋テント場〜樺段〜椹島ロッジ[3時間50分]
メンバー:トモさん、キュウさん、トモパパ、トモママ

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花々に彩られた南アルプス南部の巨峰を歩く

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かなりおおまかではあるが、北アルプスも南アルプスもほとんどの山域は経験した。唯一、南アルプス南部がまだだ。そこで荒川三山と赤石岳。この時期、お花畑はまっさかりと聞くし、静岡県から入るというのも初めてで新鮮味がある。静岡は3000mを超える山があるかと思えば海もある、非常に変化に富んだ地域。せっかくなので、下山後は焼津の格安ビジネスホテルに1泊し、街の居酒屋で地酒と海の幸に舌鼓を打つプランを立てた。

赤石岳
南アルプスの主峰、赤石岳(今回撮影はトモパパが担当)

7月21日(月・海の日)1日目 1日がかりで登山口・椹島へ。ここは、ちょっとしたリゾート地。

今日は登山口にたどり着くだけなのだが、最後に送迎バスを利用しなければならないこともあり、余裕を持って朝4時半に和歌山市の実家を発つ。草津JCT.から新名神や伊勢湾岸自動車道を利用したため、米原や名古屋付近の渋滞に遭うこともなくスムーズに東名高速にアクセス。そして、予定通り10時頃に相良牧之原IC.から一般道に下りることができた。

ここから大井川に沿って約2時間半北上。越すに越されぬ大井川と言われるだけあって、大井川の川幅は非常に広い。また、途中の川根町は日本茶の一大産地で、山の斜面を利用した茶畑の風景がとても美しい。静岡に来たな、ということを実感させてくれる。

民家すら見られなくなった山奥にある赤石温泉「白樺荘」に立ち寄り、昼食をとる。ここは秘湯ファン垂涎の硫黄泉の温泉であり、入浴は無料。祝日で混雑していることもあり、入浴は下山後の楽しみに取っておくことにした。

13時頃、畑薙第一ダム手前夏期臨時駐車場に到着。3連休最終日の今日、大半の人がすでに下山したのだろう、駐車場の入りは6割程度、余裕を持って駐車することができた。ここには簡易トイレと水場がある。次の送迎バス出発時刻は14:30なので、とりあえず腰を降ろして休もうとすると、「間もなくバスが出ますよ!」と係の人が声をはりあげている。臨時便を運行するのだ。何でも今日1日で下山する人は200人。小型バスによる通常の5便だけではとても対応しきれない。今日は、椹島とこの駐車場を何度も往復しているようだ。

椹島への林道はほとんどが未舗装。多少の振動は覚悟しなければならない。それにしても山が深い。車窓から眺める山々は急峻で原生の樹木で覆われ、尾根と谷がひだのように折り重なってどこまでも続いている。緑と水の洪水。やはり南アルプスはいい。

椹島ロッジに到着。この大井川上部の登山基地には何でもある。宿泊棟、キャンプ場、写真館、大きく清潔な炊事棟やトイレ、コインロッカー、カフェレスト。入浴もできる。快適に過ごせる川沿いの登山基地という点では上高地に似ている。観光客がいなくて静かなのでむしろこちらのほうがいいくらい。但し、テント場の朝夕はブヨや蚊が若干多いので、肌の露出を抑えたり虫よけを塗るなどの注意が必要だ。

椹島ロッジテント場
椹島ロッジテント場。

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7月22日(火)2日目 標高差約1400mの登り。我慢の1日。
千枚、荒川三山
小石下付近から眺めた千枚岳と悪沢岳

この日はあまり書くことがない。ずっと樹林帯で、見どころは特にないのだ。なのに標高差約1400mをかせがなければならず、忍耐あるのみ。ゆっくり歩こうということで、6時前に椹島を出発した。

歩行7時間はかかるとみていたので、30分歩いては5分の休憩を正確に繰り返す。休憩回数が多いと思われるかもしれないが、1日ずっと登りなのだから、30分も歩けばモチベーションが下がってくる。幸い、歩行初日とあってみんな元気だ。展望はなくとも、今日のような炎天下では、樹林帯は大歓迎。歩行中は暑くて汗が吹き出すものの、休憩中は涼しい風が体をすっと冷やしてくれる。

3連休は昨日で終わり、今日から平日。登山者はぐっと少なくなった。追いついたり抜かれたりしながらなじみとなったパーティーは5組くらい。今日、椹島から千枚小屋に向かったパーティーは全体でも10組程度ではないだろうか。



今日の行程のほぼ中間点にあたる、水場のある清水平で大休止。椹島を出発して3時間半が経過していた。顔を洗ったりしてほてった体を冷やす。斜面から湧き出した水は非常に冷たく、10秒も手をつけていれば感覚がなくなってしまいそうだ。

なおも進む。木陰に咲く地味な花ばかりで目立った花はないが、葉だけになったヤマイワカガミの群落があちらこちらにある。花期はとてもきれいだったことだろう。



本ルート唯一の展望所、見晴台はうっかり通り過ぎてしまった。ルート上にあるものだと思い込んでいたが、ルートからほんの少し右手に入っていかなくてはならないらしい。



12:00、駒鳥池に到着。池そのものは登山道の右手の下、約20mのところにある。たったそれだけの距離なのに、疲れていたのでそこまで下る気力はなかった。それよりも、ようやく姿が見えるようになった千枚小屋に一刻も早く着きたかった。



オオサクラソウやキバナノコマノツメがちらほら見られるようになった頃、ようやく千枚小屋に着いた。時刻は13時すぎ。宿泊の手続きを済ませ、テラスでビールの乾杯をする。霞んで何も見えないが、澄んでいればここから正面に富士山が見えるはずだ。小屋の裏手はお花畑でシナノキンバイなどが咲き始めている。

オオサクラソウ
小屋付近のオオサクラソウ。

シナノキンバイ
小屋付近のシナノキンバイ。

テント場は小屋やトイレから少し離れているものの、樹林の中の広場のようなところにあり、とても落ち着ける。

夕食は定番のアルファ米&レトルトカレー、ツナ・きゅうり入りのポテトサラダ。早めに食事を済ませ、19:30には床についた。

3日目へ→

椹島登山口
椹島、出発。

吊り橋
吊り橋。

コバノイチヤクソウ
コバノイチヤクソウ。

清水平
清水平の水場。

ギンリョウソウ
ギンリョウソウ。

シラビソの林
シラビソの林が続く。

駒鳥池
駒鳥池。水たまり?

マイヅルソウ
マイヅルソウ。

ゴゼンタチバナ
ゴゼンタチバナ。

カラマツソウ
小屋付近のカラマツソウ。

千枚小屋
千枚小屋。

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久木朋子の木版画